USP(Unique Selling Proposition)とは、日本では「独自の売り」あるいは「独自の売りの提案」として知られるマーケティング用語です。 「独自の売りの提案」を簡潔にまとめたフレーズであり、マーケティングコンセプトを端的にまとめたものと言えます。 関係者と共有することでマーケティングの軸を保つために利用するものです。
1940年代に成功した様々な広告キャンペーンを調査したところ、ある共通するパターンを見つけることができました。このパターンをもとにロッサー・リーブスによって提唱された考え方が「USP」です。
「成功した広告キャンペーンの分析」から誕生したUSPですが、そもそも始めからキャッチコピーと混同される運命にあったようです。
リーブス自身もUSPを活用して様々な広告キャンペーンを制作しましたが、ほとんどの場合、USPは「キャッチコピー」という形で表現されていました。
リーブスは著書「Reality in Advertising」において、USPの基準を3項目にまとめています。
これを見てるわかる通り、USPの提唱者であるリーブス自身は大規模な広告キャンペーンを念頭においています。大衆を相手にした大規模な広告キャンペーンを行うにあたって、必須の要素を「USP」として定義しています。
その後、USPというコンセプトは特に中小企業向けのマーケティングコンサルタントを通して普及していきますが、そのなかでUSPはキャッチコピーそのものではなく、USPはマーケティングのコンセプトであり、キャッチコピーはUSPを元に表現されたもの、という認識が広がります。
※もし「キャッチコピー=USP」なのであれば、USPという考えは必要ないか、あるいは「キャッチコピーを作るときに注意すること」という位置づけになっていたかもしれません。
USPの成功例としてよく挙げられるのが、ドミノピザの「30分でお届けします」ですが、実際のところはドミノピザ以外にも同様のサービスをしていたピザ宅配業者はあったといわれています。つまり「USPがある」ということが成功の理由ではなく、「広告キャンペーンにおいてUSPを訴求することにフォーカスした」ことが成功の原因となったと言われています。
「素晴らしいのはUSPではなく、徹底したマーケティング戦略だ」ということです。
ほかの「USP」の例として書籍などでよく挙げられるものとして
これらは実際に広告キャンペーンのキャッチコピーとして使用されたものですが、同時にマーケティングコンセプトを表現したものでもあります。
※逆に言えばキャッチコピーはマーケティングコンセプトからずれてはいけないのです。
現在でも、USPはキャッチコピーと混同されることが多いのですが、だからといって有益でないということではありません。むしろ、複雑化するマーケティング活動を混乱を起こさず一貫した軸を持って進めていくためには必須のものと言えます。 とくに、マーケティング専任の担当を置くことが困難な状況では、社内にマーケティングコンセプトを浸透させるためにUSPを活用することで効果を発揮するはずです。
おおむね間違ってはいません。
実は、厳密な意味では微妙な違いはあっても、実務上はUSPと大差ない言葉がマーケティングの世界にはいろいろあるのです。
例えば
などなど。
それぞれ、意味は違うのですが、結局のところ「お客さまがあなたから買う理由」を簡潔に定義した物で、マーケティング活動の中で軸として活用するものです。
これだけいろいろあるということは、裏を返すと「マーケティングは軸がぶれやすい」ということかもしれません。
USPを作る目的は、効果的なマーケティングを行い顧客に行動を起こさせる、ことです。
顧客に行動を起こさせるためには、徹底的に顧客の視点に立ち「顧客にとって何が価値ある提案なのか」ということを考える必要があります。
顧客視点を忘れた経験に基づくだけのコンセプトメイキングでは環境変化を見逃してしまいます。
弊社ではUSP抽出に何度も使えるツールとして「顧客視点88の質問」を用意しております。コンサルティングやセミナーなどお気軽にお問い合わせください。