代替医療のトリック

小説

代替医療のトリック

ビジネス2010/03/16 0:00:00
代替医療のトリック 代替医療のトリック
(2010/01)
サイモン シンエツァート エルンスト

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「フェルマーの最終定理」の大ヒットで有名なサイモン・シンの最新作のテーマは「代替医療」。

現内閣が代替医療の保険適用の検討を始めるというニュースは、まだ記憶に新しいと思います。
そもそも代替医療とは何なのか?
効くの?効かないの?
(タイトルから結論は明白ですが……)
プラセボ効果があるなら、認めてもいいんじゃないか?
などなど、様々な意見があると思いますが、
それらへの回答は、すべて本書に書かれています。
(あなたが納得するかどうかは別にして……)

率直に言って、本書は、今後「代替医療」を語る上での基準になるものだと思います。
この本を読まずして代替医療の是非を語るなかれ。
そして、真摯に代替医療に取り組んでいる方は、この本に正面から応える必要があるのではないでしょうか?

ということで、これ以上内容に触れずに、ここでは少し違う話をしたいと思います。

本書にも頻出する「エビデンス」という言葉ですが、これは単に医学や科学の世界の用語ではなく、ビジネスの世界、とくにマーケティングの世界では重要なキーワードだと思います。

覚えてほしいキーワードは「エビデンス」と「エピソード」。 エビデンスというのは、物事を証明するための証拠や根拠を意味します。定性的な情報ではなく定量的な情報が必要です。
それに対して、エピソードというのは、体験談です。
主に定性的な情報で構成されます。
「これこれの化粧品を使ってみたんだけど、つけた瞬間から肌の張りが違う感じ」といった類いのものですね。

どちらが良い悪いではなく、
マーケティングには、どちらも必要で、そのバランスが大事だと思うのです。

 

例えば、

 

サッカーのワールドカップをご存知だと思いますが、優勝したチームに手渡されるカップを何と呼ぶかはご存知でしょうか?
「ジュール・リメ・トロフィー」って言って、ワールドカップを始めた時のFIFA会長の名前が付けられているんです。
自分の名前をつけちゃうなんて、日本人的な感性からはちょっと引いてしまうかもしれませんが、とにかくそうよばれています。
で、このジュール・リメトロフィー。ブラジルが3度目の優勝をしたときに、その記念に永久にブラジルに譲渡されることになったんです。
ところが、その後、このトロフィーが盗まれてしまうのです。犯人は逮捕されるんですが、トロフィーの行方はわからずじまいで溶かされちゃったと言われています。
それがきっかけで、ジュール・リメ・トロフィーの運搬には貴重品運搬の専門業者であるA社に依頼されるようになりました。

これは「エピソード」ですね。

 

そして、この専門業者に依頼するとなぜ安全なのか、その具体的なポイントを定量的な数値データとともに伝えるのが「エビデンス」です。
※ちなみに今の例は、事実をもとに脚色してあります。

 

科学に必要なのはエビデンスですが、人の記憶に残るのはエピソードのほうです。
マーケティングに必要なのは、その両方です。
少なくとも、誠実なビジネスをしようと思うなら。

ということで、本書はエピソードとエビデンスの対決になっています。