進化の存在証明

サイエンス

進化の存在証明

サイエンス2010/02/09 0:00:00
進化の存在証明進化の存在証明
(2009/11/20)
リチャード・ドーキンスRichard Dawkins

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「利己的な遺伝子」の作者として名高いリチャード・ドーキンス。

前作「神は妄想である」では、超自然的存在である「神」が存在しないことの蓋然性について、
そして、本書「進化の存在証明」では、進化論の蓋然性について語っています。

なぜ、ドーキンスが神を語り(正確には、「神がいないこと」について語り)、進化を語るのか、
その背景には、欧米における宗教からの教育への影響の大きさがあるのですが、
ここ日本では対岸の火事のように受けとめられていると思います。

学校では進化論と一緒にインテリジェント・デザイン説も教えろ、などという運動は日本ではほとんど耳にすることは無いとはいえ、TVや雑誌などでは、血液型や前世、心霊現象、占いが当たり前のように語られています。
実際のところ、日本でも海外のことを笑ってすますことができる状況ではないのです。

そのへんの背景の話は取りあえずおいておきましょう。

最初に「本書では進化論の蓋然性について語っています」と書きました。
「蓋然性」とはある事象の確実性のことを指します。
蓋然性が高いということは「それって、むちゃくちゃありそうじゃん」ということですね。
(厳密に言えば「可能性」という言葉は、その有無だけを指し、蓋然性は確実さの高低を指します)

科学的に事実と受けとめられる事柄は、蓋然性が限りなく高い事柄です。
どんなに確実なことでも、「絶対に確実である」などと科学者は言わないでしょう。
(おっちょこちょいでなければ)
神がいないということを証明することはできません。
そういう類いの証明は一般に「悪魔の証明」と呼ばれるものです。
あることを証明するにはそれを支持する証拠を見つければ良いのですが、いないことを証明するのは事実上不可能です。

「証明する」ということは「蓋然性の高さ(あるいは低さ)を示す」ということになります。
本書では、進化論がどれだけ蓋然性が高いかを示すために、多様な証拠が提示されています。
ビジネスというのは仮説を立てて、その蓋然性を高めていくプロセスとも言えます。
思い込みに陥らずに蓋然性を高めるためにも読んでみる価値がある本だと言えます。

原書は2009年に出版されました。
この年はチャールズ・ダーウィンが「種の起原」を出版し進化論を提唱した年から150年にあたります。
おそらく、そんな事情があったからでしょう、翻訳版も同じ年に出版されています。

進化論に興味がない人も、この機会にあらためて進化論とはどんなものなのか、触れてみてはどうでしょうか?