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ブラック・スワン

「未来予測のエラー」についての本です。
紹介し忘れていたのですが
ようやく翻訳がでるようなので紹介してみたいと思います。

 

北半球には白鳥(swan)が、南半球には黒鳥(black swan)が生息しています。
オーストラリアを発見するまで、ヨーロッパ人にとって、「swan」というのは白鳥のことでした。
それが「当たり前」だったのです。
ところがどうでしょう?彼らはオーストラリアで黒い「swan」を発見してしまいます。
「黒い白鳥がいる」というのは、おそらく多くのヨーロッパ人にとって驚きだったに違いありません。

 

「ブラックスワン」というタイトルは、このように「当たり前だと思っていることがひっくり返る事態」のことを意味しています。
「予測不能な出来事が与えるインパクト」の大きさについて語っている本です。

「ブラックスワン」とはどんなものでしょうか?
著者は次のような特徴があると言います。
1. Outlier(統計上の例外)である。従って過去を分析してもブラックスワンを予期することは難しい。
2. 莫大なインパクトを与える。
3. 統計の例外であるのに、実際にブラックスワンの後では、説明可能かつ予測可能と思わせる

最近の実例だとグーグルの大成功や、9/11の事件も「ブラックスワン」です。

こんなメタファーでわかりやすく説明してくれます。

人間に飼われている七面鳥は、毎日人間から餌をもらっています。
人間から何の危険もなく餌をもらう日々が1000日間つづきます。
しかし、感謝祭が近づいたある日、突然その人間に捕まり殺されてしまいます。
「当たり前」だと思っていたことがひっくりかえってしまったのです。

これが「ブラックスワン」です。

なぜわたしたちは実際にブラックスワンに出くわすまで、それを予測することができないのか
それは、わたしたちは全体ではなく細部を見るようにできているから。
そして、「知らないこと」ではなく「知ってること」にフォーカスするようにできているから。
では、いったいどうすればブラックスワンに対処できるのか。

メインテーマを簡単に書いてしまうとこういう内容だと思うのですが、
その過程で印象に残るお話がいっぱい出てきます。
「スケーラブルな仕事」についての話
「80対20の法則」は「50対1」なんだという話などなど。

翻訳版はどうやらハードカバー2分冊で、なかなか手を出しにくい価格になっています。
「未来予測のエラー」についての本だと言われても食指が動かないかもしれませんね。
そして、一般的な行動経済学の本よりも読みにくいかもしれません。
最後まで読み通すのが大変かも。

でも、通常は、この手の本を読んでいると「あれ、これどこかで読んだことあるな」と思うことがしばしばあるのですが、「ブラックスワン」の場合は、そういうこともほとんどなく、読みごたえたっぷりです。
変な本を読むくらいなら、がんばってこちらを読んでほしいなと思います。